忙しい人にこそおすすめ!“ズボラガーデニング”という選択肢
「毎日水やりなんて無理」「雑草がすぐ伸びて心が折れる」「虫が苦手で外に出るのもイヤ」――そんな声をよく耳にします。でも、本当にガーデニングって“頑張らないと楽しめない”ものでしょうか?
実は今、“手間をかけないガーデニング”が注目されています。2022年の『家庭園芸実態調査』(一般社団法人 日本家庭園芸普及協会)によると、ガーデニングをしている人のうち「毎日手をかけるのは難しい」と回答した人は全体の68.4%に上り、さらに「水やり・草取りをラクにしたい」と答えた人は60%以上にのぼります。特に50代以上の女性や、忙しい主婦層の間で人気なのが、「ズボラでもできる」ガーデンスタイル。調査によると、園芸ユーザーのうち60%以上が「できるだけ手間を省きたい」と感じており(日本園芸協会2023年調査)、植物選びやレイアウト、道具選びにおいて“いかにラクできるか”を重視する傾向が強まっています。
ズボラといっても「投げやり」ではなく、「自分の暮らしに無理なく合った続け方」を見つけるということ。むしろ長く続けるための大事な発想といえます。
こうしたデータからも、ズボラガーデニングは多くの人の“リアルなニーズ”にマッチしていることがわかります。この章では、ズボラガーデニングがなぜ今のライフスタイルに合っているのか、そしてそれがどんなメリットをもたらすのかを紹介していきます。、そしてそれがどんなメリットをもたらすのかを紹介していきます。

毎日やらなくていいから続く
植物との付き合い方で一番ストレスになるのが「義務感」。 「水やり忘れちゃいけない」「草が伸びてるのに抜けてない」……そんなプレッシャーが積み重なると、ガーデニングそのものが苦痛になってしまうこともあります。
でも、乾燥に強い植物を選び、防草対策をすれば、水やりも草取りも週1回で十分になることが多いのです。
「きちんとしなくてもいい庭」で心もラクに
他人の庭と比べて「自分の庭は手抜きだな」と感じてしまう人もいます。でも、“きれいに整った庭”だけが素敵なわけではありません。 自然体でラフに育った植物の姿にも、味わい深さや生命力を感じる人が増えています。
手をかけすぎないことで、かえって“その人らしさ”がにじむ庭になることも。プロの造園家ですら、「庭は手入れされすぎていても疲れる」と語るほどです。
ズボラ=無理しない暮らし方のスタート
“ズボラ”という言葉にはネガティブな響きがありますが、ガーデニングにおいては「無理をしない」「自然と共に暮らす姿勢」として再評価され始めています。
「毎日じゃなくてもいい」 「完璧じゃなくていい」
そう思えるようになると、庭に出ることが楽しみになります。 この後の章では、具体的な植物や配置、道具、そして体験談を交えながら、ズボラでも楽しめる庭づくりの方法を紹介していきます。

水やりも草取りも不要?ズボラ向け植物の選び方
「水やり忘れた!」「草取りする暇がない…」――そんな悩みを抱える人にとって、植物選びはズボラガーデニングの成否を大きく左右します。
ここでは、“ほぼ放置でも育つ”植物たちを中心に、育てやすさ・見た目・季節感の3つの視点から選び方のコツをご紹介します。
植えっぱなしOK!丈夫な多年草・宿根草リスト10選
ズボラ派に最もおすすめなのが「宿根草」。植えた後も毎年勝手に芽吹き、手間がほとんどかかりません。
- アジュガ(シソ科):グランドカバーにも◎
- ヒューケラ(ユキノシタ科):葉色が豊富で寄せ植えにも
- シラン(ラン科):春に可憐な花が咲く半日陰向き
- ブルーデージー(キク科):長期間開花、初心者向け
- クリスマスローズ(キンポウゲ科):冬〜早春に咲く、日陰でも元気
- アイビー(ウコギ科):常緑で壁や鉢を飾れる
- タイム(シソ科):香りも楽しめるグランドカバー
- ヤブラン(ユリ科):雑草対策と花の両立
- セダム(ベンケイソウ科):乾燥にとても強い
- スイセン(ヒガンバナ科):球根で毎年開花
これらは植えたままで何年も楽しめるので、忙しい方でも維持しやすく、景観の安定にも役立ちます。
水やりが少なくて済む!乾燥に強い植物ベスト5
「毎日の水やりがプレッシャー」という方には、乾燥に強い植物がおすすめです。
- セダム:多肉質で乾燥耐性◎
- ラベンダー:香りがよく、通気性のよい場所で放置OK
- ローズマリー:料理にも使える丈夫なハーブ
- ユーフォルビア:独特の姿が魅力的で管理も簡単
- ガザニア:夏の日差しにも強く、長く咲く
これらは鉢よりも地植えにすることで、水やりの頻度をさらに減らすことが可能です。
草取りしたくない人のための地面対策(防草シート・グランドカバー)
「草取りが一番イヤ!」という声は非常に多いです。そこで、雑草対策として有効なのが次の2つの手段:
- 防草シート+砂利敷き:長期的に雑草を抑制。ホームセンターで簡単に揃います。
- グランドカバー植物の活用:植物で地面を覆い、雑草が生えにくい環境を作ります。例:クラピア、ヒメイワダレソウ、リッピアなど
実際、「防草対策をしただけで庭に出るのが苦じゃなくなった」と話す人も多く、ズボラさんにとっては“庭の自由度を取り戻す鍵”ともいえるでしょう。

放っておいても映える!庭の配置とデザインの工夫
ズボラガーデニングでは、植物の種類だけでなく「どこに何をどう植えるか」も非常に重要です。ここでは、手をかけずに“整って見える”ための配置やデザインの考え方をご紹介します。
手入れしなくても整って見えるレイアウトとは?
「自然風」「ナチュラル」「野の花のような庭」など、整いすぎていないデザインが近年人気です。これらは“完璧”を目指さずに済むので、ズボラさんにもぴったりです。
- 高さの違う植物をバラけて配置する(自然な起伏感)
- 曲線を活かした花壇や通路(直線よりも自然に見える)
- 同系色や淡い色の花で統一感を出す
特に「グランドカバー+中くらいの草丈+背の高い植物」という3層構造にすると、放っておいてもバランスが取れて見栄えします。
庭の一部を“放置エリア”にする発想
全部の手入れを頑張るのではなく、「ここは放っておくゾーン」と決めることで、管理の負担は大きく減ります。
- 家の裏や塀際に“ワイルドガーデン”コーナーをつくる
- 自然のまま生えてくる草花をあえて残す
- こぼれ種で毎年咲く植物(カモミール、ニゲラ、ノースポールなど)を活かす
“自然に任せる”発想を取り入れることで、「整ってない=ダメ」という思い込みから解放されます。
ズボラでもおしゃれに見えるナチュラルデザイン術
- 木材やレンガ、割栗石などの“素材感”を活かす
- 鉢を並べすぎず、“余白”をつくる
- 経年変化(苔むす、木材の色あせ)を楽しむ
ナチュラルな庭は“ちょっとズボラな感じ”をむしろ魅力にしてくれる包容力があります。作り込みすぎず、抜け感のあるレイアウトがズボラガーデンの醍醐味です。
次は、実際にズボラガーデニングに取り組んだ人たちのリアルな声を見てみましょう。成功のコツやちょっとした失敗談から、多くのヒントが得られるはずです。

ズボラでも大丈夫!リアルな成功&失敗体験談
🌼成功体験①:水やりしすぎをやめたら花が元気に
「毎日水をあげなきゃって思い込んでいたんですが、忙しくて数日忘れたことがあって…。でも意外にも、その方が植物の調子がよくて驚きました。今は週2回程度にしたら根腐れも減って、植物本来の強さに気づけた気がします。」
🌿成功体験②:植えっぱなしの宿根草が毎年勝手に咲いてくれる
「何度も植え替えるのが面倒で、花壇には“植えっぱなしOK”の植物ばかりにしてみたんです。アジュガやシランが思った以上に増えてくれて、春になるとちゃんと花が咲くのが嬉しい。何もしなくても庭が彩られる安心感があります。」
🌱成功体験③:庭が“放っておいても整う”空間に
「草取りをやめてグランドカバー植物(ヒメイワダレソウ)を広げたら、草が生えにくくなったうえに、見た目も可愛くなって一石二鳥。ズボラな私でも、“これは続けられる”と自信がつきました。」
🍂失敗体験①:鉢植えばかりで逆に水やりが大変に
「地植えは手間がかかると思って、鉢植え中心にしたら毎日全部に水やりが必要になって大変でした。乾燥しやすいし、移動も面倒。今は宿根草を花壇に植えて“放置エリア”を増やしています。」
🌿失敗体験②:草取りを放置しすぎて花までダメに
「“まぁいいか”と草取りをサボっていたら、雑草が花より元気になってしまって…。気づいたときには、植えたはずの花がどこにあるのか分からないほどでした。今は防草シートを敷いて雑草エリアを最初から作らないようにしています。」
🌸成功体験④:無理せず“週末だけの庭仕事”が心の癒しに
「毎日庭に出なきゃ…と思っていた頃は苦痛でした。でも“週1だけ”と決めたら気がラクになって、庭に出るのがむしろ楽しみになりました。“やらなきゃ”から“やりたい”に変わった瞬間でした。」
ズボラさんの味方!便利グッズ&おすすめアイテム8選
ズボラガーデニングをさらに快適にしてくれる便利な道具を紹介します。「道具の力を借りる」ことは、手抜きではなく、長く楽しむための賢い工夫です。
1. タイマー付き自動水やり機
設定するだけで自動で水やりをしてくれるアイテム。朝夕の水やり時間に縛られるストレスから解放されます。
2. 雨水タンク+蛇口付きホース
雨水をためておいて、好きなときに手軽に水やり。水道代節約にもつながります。
3. 防草シート&砂利セット
雑草対策の定番。広い面積でも一度施工すれば数年間ほぼ草取り不要になります。
4. コードレス電動草刈り機
小型・軽量タイプなら女性でも扱いやすく、気になったときにサッと除草できます。
5. 園芸スツール(収納付き)
座って作業できるうえ、工具や小物もまとめて収納できる便利アイテム。腰や膝への負担を軽減します。
6. 自立式ホースリール
ホースをぐちゃぐちゃにせずスッキリまとめられるので、庭が散らかるストレスも軽減。
7. 水持ちのよい専用培養土
乾燥しにくい土を使えば、水やりの回数も自然と減らせます。
8. メンテナンスフリー素材のプランター
樹脂やセメント調の素材でできた鉢なら、重さも軽く、長期間劣化しにくいのが魅力。
これらを上手に取り入れることで、ズボラでも見た目の美しさと使いやすさを両立した庭づくりが可能になります。

季節別|ズボラガーデニングの年間メンテナンスカレンダー
ズボラガーデニングの魅力は、1年を通して“少ない手間で回せる”こと。ここでは季節ごとの「最低限やればOK」な管理ポイントをまとめました。
春(3〜5月):植え付けとスタートの時期
- 多年草や宿根草の新規植え付けに最適
- 雑草が伸びる前に防草シートを補強
- こぼれ種の発芽が期待できるので、地面を軽く整えるだけでOK
夏(6〜8月):乾燥・暑さへの対策を最小限で
- 朝か夕方の週1〜2回、水やりだけ忘れずに
- グランドカバーが育てば草取りの必要ほぼなし
- 暑さで無理しない。見回りと剪定は10分以内で終了
秋(9〜11月):植え替えと準備のチャンス
- 涼しくなったら球根・苗の植え込みに最適
- 植えっぱなしに向く品種(スイセンなど)を選ぶと◎
- 防草対策の見直しと、落ち葉の片付けだけやれば十分
冬(12〜2月):ほぼ休眠!完全ズボラタイム
- 宿根草は地上部が枯れても春に芽吹くのでそのまま放置OK
- 凍結防止で水道ホースを外しておく程度でOK
- 室内から眺めてプランづくりするだけで◎
このように、季節ごとの“最低限の手入れだけ”を意識すれば、ガーデニングは驚くほど続けやすくなります。

まとめ|ズボラだからこそ、庭を楽しめる
ズボラガーデニングは、「頑張らないこと」が武器になるスタイルです。毎日のように手をかけなくても、ちょっとした工夫や道具選び、植物の選定で、自然と庭は整っていきます。
手を抜いているようで、実は“続けるための工夫”をしている——それがズボラ流。むしろ、無理をせずに自然と付き合う姿勢は、現代のガーデニングのひとつの理想形ともいえるでしょう。
- 「毎日やらなきゃ」に縛られず、週1でもOK
- 植えっぱなしでも咲く植物を上手に使う
- 草取りを減らす防草対策やレイアウトの工夫
- 道具に頼ってラクすることも立派な知恵
他人の庭と比べず、自分のペースで楽しむ。そんなズボラガーデンが、あなたの暮らしにちょっとした癒しと誇りをもたらしてくれるはずです。